若手育てる漆芸箸セット 加賀の更谷さん工房 販売へ:北陸中日新聞Web
高級品「海外でも需要」 収益は受講資金に
漆芸品修復の第一人者として知られる更谷(さらたに)富造さん(72)の工房「アメージングギャラリー」(加賀市山中温泉荒谷町)が、箸と箸箱セットの販売を始める。工房で漆芸を学ぶ生徒らが、継続的に通うための資金源にする。更谷さんは「日本でしかできない材料、技術で箸を作り、若い人たちが育つための軍資金にしたい」と話す。(小室亜希子)
つややかな茶褐色の竹筒を開くと、塗り箸が現れる。竹筒は重要伝統的建造物群保存地区に指定された工房周辺の古民家から取り出された「すす竹」。いろりの煙で長年いぶされた独特の色味があり、希少価値が高い。これに蒔絵(まきえ)で稲穂を描く。工房名義で販売を予定する商品の一つだ。
更谷さんは古里の京都で漆芸を学び、二十六歳の時にオーストリア・ウィーンで修復の道に入った。英国や米国でも暮らし、美術館や貴族、オークションハウスなどの依頼で六千五百点以上の修復を手掛けた。作家としても活動。生き物や果物を独創的に表現したアート作品を制作し、海外を中心にファンが多い。
修復の講師で招かれた縁で山中温泉荒谷町の古民家を購入し、昨夏に工房を開いた。漆芸教室には二十〜四十代の六人が通うが、経済的な理由から継続を悩む人もいる。更谷さん制作の箸が今年三月、東京の百貨店で定価十万円で計五点売れた経験を踏まえ、生徒らと箸セットを作り、販売収益を還元することで学び続けてもらおうと考えた。
箸はケヤキなどを材料に用いる。箸箱は磁石で開閉する仕組みで、すす竹のほか、シノダケの箱など数種類のセットを用意する。材料や蒔絵に応じて価格は三万〜十万円を想定。ふるさと納税の返礼品としても市に提案したいという。
更谷さんは「日本の香りがする高度な漆芸品を海外の富裕層は求めており、ビジネスとして成り立つ。箸を通して若い世代に実感してほしい」と話す。

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